第7回 作業療法士の一般的な魅力と知られざる魅力
- 4月1日
- 読了時間: 6分

はじめに
作業療法士は、医療や福祉の現場でリハビリテーションを行う専門職の一つであり、国家資格を必要とします。主な仕事は病気やけが、障害などによって日常生活が難しくなった人に対して支援を行うことで、具体的には食事や着替え、入浴、仕事、趣味など、人が生活の中で行うさまざまな「作業」を通して心身の回復を支援し、その人らしい生活を取り戻すことを目的としています。
高齢化が進む現代社会において、作業療法士の役割はますます重要になっています。ここでは、作業療法士について一般的によく知られている魅力と、あまり知られていない特徴的な魅力についてまとめます。
一般的に知られている魅力
①人の「生活」を支えることができる
作業療法士の仕事は、「人の生活そのものを支える」という点であす。病気やけがによって身体機能が低下すると、これまで当たり前にできていた日常生活の動作が難しくなることがあります。作業療法士はそのような人に対して、日常生活に必要な動作の回復を目指したリハビリテーションを行います。
例えば、食事、着替え、入浴、家事、仕事、趣味活動など、人が生活するうえで必要なさまざまな作業を対象として支援を行います。ここでのポイントは、身体機能の回復だけではなく「生活の質」を高めることを目的としている点であり、患者が自分らしい生活を取り戻す手助けができる点は、作業療法士という職業の大きな魅力と言えます。
②回復の瞬間に立ち会える
作業療法士は、患者が少しずつ回復していく過程を間近で支える仕事です。リハビリテーションは短期間で成果が出るものばかりではなく、時間をかけて少しずつできることを増やしていく場合も数多くあります。そのため、患者と長い期間関わりながら支援を続けることになります。
例えば、「初めて自分で食事ができた」「一人で服を着替えられるようになった」「自宅に退院して生活できるようになった」といった生活上の大きな変化に立ち会うことができるのは作業療法士の大きな喜びです。患者の家族から直接感謝の言葉をもらうことも少なくありません。このように、回復の瞬間に関わることができる点は、大きなやりがいにつながります。
③さまざまな分野で活躍できる
作業療法士は活躍できる分野が非常に広い職種でもあります。多くの人が病院で働くイメージを持っていますが、実際には医療機関以外にも多くの現場で必要とされています。
活動の場をあげると、まず病院(急性期・回復期・リハビリテーション病院)、そして介護施設、訪問リハビリテーション、障害福祉施設、精神科医療機関、発達支援施設等々。対象となる患者の年齢も幅広く、子どもから高齢者まで支援する機会がある。このように働く場所や分野の選択肢が多いことも、作業療法士の魅力の一つです。
④国家資格による安定した職業
作業療法士は国家資格の医療専門職です。医療や福祉の分野は社会にとって欠かせない領域であり、特に高齢化が進み「人生100年時代」と言われる日本ではリハビリテーション職の需要が高まっています。
そのため、作業療法士の「全国各地で働くことができる」「医療・福祉分野で継続的な需要がある」「長期的に働きやすい専門職である」といった将来性や安定性に秀でた職業的特性は、作業療法士が医療系の進路を目指す学生に注目されている理由と言えるでしょう。
あまり知られていない魅力
①「好きなこと」をリハビリにできる
作業療法とは、「作業」を通してリハビリを行います。そのため、単純な筋力トレーニングや運動だけではなく、患者の興味や生活に合わせた活動をリハビリに取り入れることができます。
例えば、料理、手芸、工作、絵を描く、ゲーム、音楽など、患者の好きな活動を取り入れることで、楽しみながら身体機能や認知機能の回復を目指すことができます。身近で興味の持てる活動を行うことで、リハビリへの意欲を高めることにもつながります。このように、患者一人ひとりの生活や趣味を大切にした自由度の高い支援ができる点は、他の医療職にはない作業療法士ならではの魅力と言えるでしょう。
②精神分野でも活躍できるリハビリ職
リハビリテーション職というと、骨折や脳卒中など身体の回復を支える仕事がイメージされやすいと言えます。しかしながら作業療法士は、精神科医療の分野でも重要な役割を担っていることはあまり知られていません。
例えば、うつ、統合失調症、不安障害などの精神的な疾患を抱える患者に対して、生活リズムの改善や社会生活への適応を目的とした支援を行います。作業活動を通して人との関わりや生活習慣を整えることで、社会復帰につながるリハビリテーションを行います。このように、身体だけでなく心の回復にも関わることができる点は、作業療法士の特徴的な一面です。
③生活環境を整える専門職でもある
作業療法士の役割は、身体機能の回復を支援することだけではありません。患者が安全で快適に生活できるように、生活環境を整える支援も行います。
例えば、住宅の手すりの設置位置、椅子や机の高さの調整、日常生活で使う道具の工夫などを提案することで、安全で身体への負担が少ない環境づくりを行います。場合によっては住宅改修のアドバイスや福祉用具の選定にも関わることもあります。このように生活全体を視野に入れて支援を行う点は、他の医療職とは異なる作業療法士ならではの特徴と言えます。
④創造力やアイデアが活きる仕事
作業療法では、患者一人ひとりの身体状況や生活環境に合わせてリハビリの方法を考える必要がある。そのため、同じ訓練方法がすべての人に当てはまるわけではない。
例えば、「身近な道具を使ったリハビリ」「患者の趣味を取り入れた活動」「日常生活を活用した訓練プログラム」など、さまざまな工夫を行いながら支援を進めていく。このように発想力や創造力を活かしながら患者に合った方法を考えることができる点は、作業療法士の仕事の面白さの一つと言える。
まとめ
作業療法士は「作業」を通じて患者が日常生活を取り戻す支援をする。人の「生活」を支える、回復の瞬間に立ち会える、さまざまな分野で活躍できる、国家資格なので安定しているといった魅力は一般に知られているが、「好きなこと」をリハビリにできる、精神分野でも活躍できる、生活環境を整える、創造力やアイデアが活きるといった点はあまり知られていない。医療職の中では工夫や創造性が生かせるユニークな存在が作業療法士と言えるだろう。