第6回 理学療法士と作業療法士ってどう違うの?
- 2月27日
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理学療法士と作業療法士はどちらもリハビリテーションの専門職ですが、役割やアプローチの仕方が異なります。両者を比較しながらどこがどう違うのかを説明します。
1. 役割と対応する患者は?
理学療法士(Physical Therapist, PT)は、主に身体機能の回復を目的にリハビリを行います。対象は、けがや病気、高齢による筋力低下などで「立つ・歩く・動く」といった基本動作が難しくなった人です。医療現場では「動作の専門家」とも言われ、解剖学や運動学の知識を活かして、身体を科学的に分析します。
作業療法士(Occupational Therapist, OT)は、身体的・精神的な障害や機能低下を持つ人々に対し、日常生活の活動を通して自立と社会参加を支援する医療専門職です。患者が「できること」を増やすための訓練や環境調整を行います。患者一人ひとりの「その人らしい生活」を考えるため、創造力や共感力が重要になります。
手足などを動かす基本動作の回復を目的とする理学療法士に対し、食事や着替えをするといった応用的な動作ができるよう支援するのが作業療法士です。作業療法士は身体だけでなく精神の障がいの分野も対象になる点で理学療法士と違いがあります。
理学療法士の主な仕事
歩行訓練や筋力トレーニング
関節の可動域改善
姿勢やバランスの調整
スポーツ障害のリハビリ
作業療法士の主な仕事
食事や着替えの訓練
手先の細かい動作の回復支援
認知機能や精神面のリハビリ
趣味や社会参加の支援
2.治療方法は?
理学療法における治療方法は大きく分けて3つあります。1つ目は筋肉や関節を動かす練習から始まる運動療法、2つ目は患部を暖めたり冷やしたり電気で刺激を与えたりする物理療法、3つ目は立つ・座る・歩く・食事・排泄等の基本的動作をトレーニングする日常生活活動練習です。
実際の作業を通して機能回復を目指す作業療法には、身体運動活動、仕事・学習活動、手工芸の活動、生活活動、生活圏拡大のための活動の5つがあります。積み木や工作、編み物、ゲーム、書道、コンピュータ操作、料理、食事、散歩等、さまざまな活動が日常生活の第一歩となります。
3.「ならでは」の進路は?
理学療法士、作業療法士ともに病院、クリニック等の医療機関、老人介護施設、肢体不自由児施設といったところに勤務することができます。それぞれの資格保有者ならではの就職先としては、理学療法士はジム等のスポーツ関連施設や、スポーツチームの専属となって主にスポーツでケガや故障をした人のリハビリにあたることがあります。理学療法士の中には海外のスポーツチームで活躍している人材もいます。彼らは理学療法士に加えてマッサージ等の資格も有している場合が多く、また特定のスポーツについて深い知識も有しており、もともとそのスポーツの選手であった人物が引退後に理学療法士になった例も少なくありません。
作業療法士は精神面のサポートができることから、心療内科や精神病棟で勤務することができます。ここ数年で一般的によく知られるようになった発達障がいを持つ人の対応をすることもあり、企業の職業支援部門でアドバイザー的な活躍をする作業療法士もいます。
4.特徴的な授業や設備は?
福岡リハビリテーション大学校の高度理学療法学科は、身体機能回復のための様々なハイテク機器を用いた授業を行います。たとえば、浮力を利用して体の負担を軽減して歩行訓練等を行える水中歩行訓練装置(アクアミル)は、九州地区の学校では数少ない機材です。
高度作業療法学科には、患者の日常生活を回復するための和室やキッチンのシミュレーション設備があります。また、趣味の作業活動として患者に木工、金工、陶芸をしてもらうことがあることから、福リハ校内には陶芸用の電気釜が設置されており、実際に土から陶器を作ることができます。
5.どんな人が向いている?
理学療法士、作業療法士ともに、ケガや病気等から障がいを負って日常生活ができなくなった人のリハビリテーションを担当します。従って、患者を回復させてあげたい、人の役に立ちたいという利他の精神を持っている必要があります。また、リハビリは長い時間を要するだけに、根気強く取り組める性格の人が向いているとも言えるでしょう。そして、もう一つあげるとすれば、人とのコミュニケーションが好きということです。思い通りの生活が送れなくなり精神的にダメージを受け自暴自棄になる、もしくは塞ぎこんでいる人に運動を強制しても逆効果です。患者のやる気を引き出すために時には優しく、時には厳しく、コミュニケーションを取れる人が現場に求められます。その上で、身体の機能回復を手伝いたいか、患者が生活を取り戻す手伝いをしたいかで、理学療法士、作業療法士を選択すると良いでしょう。